リベルテールの社会学

隈栄二郎のブログ ―生きている人間の自由とは、私の自由と、あなたの自由のことだ。そして社会科学とは、この人間の自由を実現する道具だ。

イデオロギーの機能と価値

 こんにちは。東京地方、3月4月並みの陽気だそうで。寒がりとしては、これで春では2月が戻ってきたらどうなるものか。
 こういうときは思い悩むよりは早くその恩恵にあずかったほうがよろしい。明日あたり「探梅」にでかけたいものです。探梅だってさ。いい言葉だね。朝日新聞のコラムに書いてあった。

 先週は心が潰されてこのブログもすっ飛ばしまして失礼しました。頭脳の容量オーバーのなせるワザです。
 飛ばしたといってもどうせ大したメモはなくて。
 ほかの人が言わないニュースでは、こんなのはいかが。 
 「多目的トイレ」の名称やめて」 
国土交通省は、建築物のバリアフリー設計指針を4年ぶりに改定する。障害者ら向けのトイレは「多目的」「誰でも」といった名称を避け、利用対象を明確化するよう求める。一般の人が使うことで本来必要とする人が利用できない事態を防ぐ。」(共同通信) 2021/02/04 。

 もちろん取り上げた意味は不明でしょう。趣旨は「おお。偉くなったもんだ」。
 ちょっとイヤミだけどね、リベラルのはしくれの私ですが、こういう勝手な言辞は好きじゃない。
 もともと多目的トイレという名称は、「障害者用」では逆差別という風当たりが強いからつけた名称です。って、わたしゃつけた当人じゃないけどね。
 「どなたでもどうぞ、使えますよ」と触れ回って障害者の便宜を図ったのに、それを今となって「健常者が使うからそれやめて」じゃ、名前を工夫して制度を右翼議員の非難から守った人の立場がないじゃん。
 ひとこと、長年の制度が定着して、とか障害者の権利が守れて役目は終わったので、とか言ってほしいよ、わたしゃ関係ないけど。人間同士だからね。
 
 憎まれ口ついでに女性問題も。
 森喜朗。こういう老害人間がシンプルに許せないのはわたしの個人的事情。こいつらは生涯の敵なのだ。が、ここではそうではなくて、「男」の言語概念の問題。
 わたしなど、よく、「男は言をたがえるな」とかって表現を、口に出さなくとも頭の中で飛ばすわけさ。小学校で教わった竹之内誠蔵先生は鹿児島県人だからね。 
 もちろんそんなイデオロギーは、要するに江戸期武士官僚=プチ・ブルジョワ知識人固有の道徳です。そんなこといってたら、昭和の民間資本家・労働者連合は生きてはいけない。
 とはいえ、プチ・ブルジョワの特性とは、人間の本質的特性です。自由に生きることが可能な範囲の広い人間階層の特性。
 たしかにそれは表面上の言葉に過ぎませんし、当人が窮地に陥ればそんな信条は跡形もなくなるわけではあります。言ったが勝ちのイデオロギー。もし仮に跡形があるというのなら、それは「良心的」資本家・労働者が生きたあとに残し跡形と一緒ではあります。9割の人間は、多少は正直ですから。
 ま、ともかく、支配社会でかような箇所に使われる「男」なる用語は、その社会での最高道徳に位置するわけで。
 つまり、世間の美味しいところはすべて「男」に取られてしまっている、この状況の反映です。そのこと自体は嘆かわしいところですが、しかし、当該センテンスの意味するところは普遍的なものです。
 「男ならがんばれ」
 「男なら泣くな」
 すべて「人間」にとって必要なものです。
 この文言の示す価値を、差別の名で押し流してはいけません。
 
 もともとこういう事情は権力の偏在のなすところです。権力の大小、というか、すでにここまで歴史が続くと支配と被支配の問題といったほうが正しい。
 支配者は自己の支配の安寧秩序のために、武力行使の代わりに、武力を背景とした役割設定とその役割の保持が必要なわけですが、この保持のためには「弱い」者は助けないと死んでしまうし、あるいはその社会で「人間」扱いされる階層であれば、彼ら「弱い者」の協力も必要です。それにはこの支配階層者による援助行為が「当然でなくとも当然な」イデオロギーが必要だ、というわけです。それは社会において「当然」であってはならない。つけあがられると自分の地位に関わる。といって、ないわけにはいかないのだから、それは「不平等を前提とした当然」というイデオロギー下でなされなければならない。かくて、男はあくまで「人間的価値」を担い、女はあくまで助力の対象でなければならない。
 それはあくまでイデオロギー上の問題であって、イデオロギーは社会的事実の存在によって、時間をかけて廃棄される。しかし、イデオロギー憎さにその実体を流してしまってはならない。

 というわけで、そのうち遠からず私なども、別の意味で森・川淵化扱いされてしまうんだろうねえ。それもしょうがないけれど、しかし、処世の真理は一つです。もとより、処世の方法に過ぎませんが。